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番外編 マトリの女?

「ナオすまないが、これからもう一人客が来る」 蜂谷さんが申し訳なさそうに頭を垂れた。 「かなり個性的なヤツだ。信孝とは幼馴染みの間柄だ。避難するなら今のうちだ。どうする?」 「どうするって聞かれても……」 ナオさんに助けを求められた。 「取り敢えずご挨拶だけしたら。だってほら信孝さんの幼馴染みだし。ね?」 「うん、そうだね」 ナオさんに腕を掴まれた。 「未知を巻き込むな」 「だって一人じゃあ心細いんだもの」 ナオさんに押し切られ、これからここに来るチカちゃんという人をリビングで待つことにした。 ピンポーン。それから30分後。 呼び鈴が鳴り、彼と信孝さんが男性を伴って入ってきた。 男らしい風貌からは、小さい事なら笑って許してくれそうな、豪快そうな風格と貫録、それに陽気さが感じられた。 まさかだと思うけれど、この人がチカちゃん……なのかな? がちがちに緊張してなかなか声が出ないナオさんの代わりに男性に声を掛けた。 「初めまして卯月未知です。彼が縣ナオさん。信孝さんの奥さんです。緊張し過ぎて声が出なくなってしまったみたいで。ごめんなさい」 ナオさんと一緒にぺこりと頭を下げた。 「あら~~あなたがノブくんの奥さん?それにハルくんの奥さん?いやぁ~~んもう、二人共可愛い‼嘘通りだわ~~」 千里さんなみの甲高い声が男性の口から出てきて、男らしい見た目とのギップの差に唖然となってしまった。 「乾千景(いぬい ちかげ)っていうの。宜しくね」 投げキスとウィンクをされ、ナオさんとどうしていいか分からず顔を見合わせ固まってしまった。

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