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番外編 マトリの女?
「信孝さんがナオさんに謝りたいって。お願いだから出てきて」やっと部屋から出れたのに。中から鍵を掛けまた籠ってしまった。
ママがいないことにすぐに気付いた晴くんと未来くん。目を真っ赤に腫らしドアの前でナオさんが出てくるのを待っていたけど、どんなに待っても出て来なくてしまいにはわんわんと声を出して泣き出した。
「はれくん、みくくん」一太と遥香が駆け寄り、頭をなでなでしながら大丈夫だよと声を掛けるとようやく泣き止んでくれた。
「ごはんたべよう」
「ままたんとくせいのカレーだよ」
二人の事を心配した一太が橘さんに「元気が出るカレーを作って下さい‼」
電話で頼みついさっき若い衆に鍋ごと届けてもらった。
「いこう」
一太が手を差し出すと「うん‼」二人とも笑顔でその手を握り返した。
「おおかた信孝にやってもいない罪を擦り付けて、俺と蜂谷を共倒れにさせる魂胆だろよ。浅川の野郎、またよからぬ絵図描きやがった」
お茶を彼の所に運んで行ったら廊下でみんなで立ち話をしていた。
「お、ありがとう」
「あの、チカちゃんは?」
さっきまでいたはずなのに……
キョロキョロと見回した。
「野暮用だ。すぐに戻ってくる」
蜂谷さんが見付けたのは危険ドラッグだった。
サツがガサに入る前に、浅川を追いつめる証拠品としてどうしても押収する必要があったみたいだった。
「タマや茂原がムショに入って、浅川は悪事を働いても捕まらない絶対の自信があるから、のうのうと生きてる。それがどうしても許せないんだ」
彼の想いはみんなも同じ。
大きく頷いていた。
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