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番外編 マトリの女?
「ねぇ、ねぇ、あのね」
ナオさんにカレーを持って行ったら、チカちゃんがドアに寄り掛かり話し掛けていた。
「あの………」
おっかなびっくりそぉーと声を掛けた。
「あら、見付かっちゃったみたいね。ノブくんの奥さんって、名前……」
「ナオさんです」
「そうだった。最近、物忘れが酷くて。困っちゃうわね」
チカちゃんは底抜けに明るかった。
いつもこんなにテンションが高いのかな?
だんだんとチカちゃんが千里さんに見えてきた。
「あ!そうだ!」
チカちゃんは両手をパチンと叩くと、ドロップスの缶をポケットから取り出した。
「これをナオさんに渡そうかと思ったのよ」
そう言って見せてもらうと、真ん中に相合傘がマジックで書いてあって、右側がノブくん、左側は何も書かれてなかった。
「今はどうか知らないけど、昔はね、卒業式のときに好きな男の子の第2ボタンを巡ってし烈な争奪戦が繰り広げられたのよ。ノブくん、あの通りイケメンで面倒見がよくて優しいから男女問わずモテモテだったのよ。アタシもノブくんにずっと片想いしていたのよ」
チカちゃんが缶を軽く振ると、中からからからと音が聞こえてきた。
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