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番外編 マトリの女?
「ねぇ遥琉さんは知ってるの?その・・・・なんだっけ?」
えへへと笑って誤魔化した。
「いや俺も知らない」
「えぇ、そうなの?知ってるって顔していたから、てっきり分かるのかと思ったから」
「ごめんな」
「ううん」
首を横に振った。
「間違っていたらごめんなさい。蔡慶(さいけい)っていう人と芫さんってもしかして同一人物なの?」
「それが事実なら全ての辻妻が合う。でも、あの勘の鋭い地竜が自分の首を狙っている蔡慶をわざわざ側になど正気の沙汰じゃねぇ」
「地竜は愛妻家だ。愛する妻の為に自ら囮になった。そうも考えられないか?」
何気に視線を感じチカちゃんを見ると口を一文字に結び眉を顰めていた。
「チカ、誤解するなよ。未知と地竜はそんなやましい関係じゃない。お腹の子の父親は正真正銘この俺だ」
なんとかして誤解を解こうと彼が説明をはじめた。
ごめんね遥琉さん。そしていつも僕のためにありがとう。
「だからリーの4人の子どものうち3人がここにいるのか」
チカちゃんが最後にぼそっと独り言のように呟いた。
何かを察した紗智さんが険しい表情を浮かべすっと一歩前に出た。
那和さんと、物陰に隠れてこっちの様子を伺っているジウさん。二人の弟を守るため自ら矢面に立った。
「チカさん待って‼」
気付けば体が勝手に動いていた。
「そうかも知れないけど、それが事実だけど、いまはみんな僕の子どもたちです。なんも悪いことをしてない。だから、そっとして置いてください。お願いします」
お腹を両手で支えながら頭を下げた。
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