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番外編 マトリの女?

「チカ、さっきも言ったが、紗智も那和もジウもウーもフーもみんな俺と未知の可愛い息子なんだ。だから頼む」 彼も頭を下げてくれた。 それだけじゃない。 柚原さんも根岸さんも蜂谷さんも、居合わせた若い衆まで頭を下げてくれた。 ジウさんが不思議そうに首を傾げながら那和さんの袖をツンツンと引っ張った。 「シェンモ?」 (何?) 「あ、あのね」 那和さんが笑顔で言葉を返すと、 「シュ シー………」 (嘘・・・・・) 信じられないと言わんばかりに目を丸くしていた。 「たく、もぅしょうがないわね」 ププと思い出し笑いをするとチカちゃんの声が男性から女性に変わった。 「アタシの妹はお節介やき。すぐになんでも首を突っ込むのよ。妊婦なんだから大人しくしてなさいっても聞きやしない。困ったものね」 あ、これって千里さんに言われた言葉だ。 なんでチカちゃんが分かるの? ひょっとして2人は知り合いなの? 「潜入捜査して何度も危ない目に遇ったわ。その度ハルくんや千里に助けてもらったのよ。アタシが今もこうして生きていれるのは2人のお陰でもあるのよ。カレンからの手紙にはいまだ誰も顔を見たことがない蔡慶の情報と、日本に逃れたリーの子どもたちが黒竜に狙われている、そう書いてあったわ」 「ジウがね思い出したって。地竜が一回だけ、俺と紫竜(ズーノン)はまるで双子みたいに顔がそっくりだって。だから隠さないとならないって」 紗智さんが意を決し重い口を開いた。

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