1242 / 3283

番外編 マトリの女?

「一生一世一起(イー シォン イー シー イー チー)、今生今世永远爱你(ジン シォン ジン シー ヨン ユェン アイ ニー) 紗智、お前ならこの2つの言葉の意味が分かるだろう?みんなが紗智と鞠家の幸せを願い、2人を引き合わせ晴れて夫婦(めおと)になったんだ。最後まで添い遂げるのが筋だろう?違うか?」 紗智さんは両手で顔を覆うと声を押し殺し咽び泣いた。 「一生一緒にいよう。生きている限り永遠に君を愛する。いゃあ~~ん、もぅ、何度聞いてもステキなプロポーズの言葉よね。アタシもされてみた~~い!」 チカちゃんはこんな状況にも関わらず、相変わらずテンションが高い。 「悪かったな」 声と共に入ってきたのは、眼鏡をかけた背の高い男性だった。 年は彼より少し上くらいかな。 全体の雰囲気から落ち着きが感じられた。 名前までは分からないけどチカちゃんと同じマトリの人だ。多分、だけど。 眼鏡の似合う品のよい顔はまるで俳優のように格好が良かった。 「悪かったな………ん?」 彼がその台詞にピンときたみたいで。 「おぃ、チカ。てめぇ、ヤツを食ったのか?」 「食ってないわよ」 ちらっと横目で男性を見ると恥ずかしそうに目を伏せた。 「その逆よ」 「は?」 彼の目が一瞬点になった。 柚原さんや信孝さんもようやく理解したみたいで「それならそうと早く言えよ」苦笑いを浮かべていた。 一方の蜂谷さんはというと、なんでよりによって、国井が相手なんだ………小さく呟くと、額を手で覆い苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

ともだちにシェアしよう!