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番外編 マトリの女?
「未知さんおはよう」
朝からとても賑やかで、リビングをそぉーと覗くとラフな格好のチカちゃんに笑顔で手を振られた。
グレーの作業着姿がよく似合う国井さんは、庭で彼や信孝さん、子どもたちとなにやら日曜大工をはじめていた。
「時季がかなり違うんだけどね。ハルくんのおっきい子どもから小さい子どもたちに流し素麺を体験させたいって、早朝早く、ハチのところから竹をもらってきたの。アタシも彼もちょうど非番だから、せめての罪滅ぼしよ。昨日はごめんなさいね」
「いえ、大丈夫です」
ナオさんが飲み物を運んでくれた。
「バーベキューなら準備もそんなにかからないって言ったんだけど、国井さんが日曜大工が好きみたいだよ。チカさんにはミルクティー、未知と僕はミルク多めのノンカフェインのカフェオレ。はいどうぞ」
テーブルの上にマグカップを置いて、ナオさんが僕の隣に腰を下ろしてきた。
「彼、料理も得意でマイ包丁も持参したのよ。ナオさん、素麺を茹でるときは手伝うからね。遠慮しなくていいからね」
「ありがとうございます」
昨日は仕事とはいえ疑って悪かったわ。真っ先に紗智さんや那和さんに詫びたチカちゃん。
ピリピリとした緊張感もなく、穏やかな表情を浮かべていた。
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