1247 / 3299

番外編 マトリの女?

「アタシの家は代々警察一家でね。小さい頃からそりゃあ厳しく躾けられたの。男の子と一緒に遊びより女の子とままごと遊びするのが楽しくて……父に見付からないように内緒で遊んでいたんだけど、ある日父に見付かってしまって。お前みたいな女々しいヤツは俺の子じゃない。根性を叩き直してやるって、お尻が腫れ上がるまで平手打ちをされたの。その日からアタシは男なんだ。立派な男になる。父を超える立派な警察官になって絶対に見返してやるって心に固く誓ったの」 チカちゃんが自分の生い立ちを話してくれた。 小さい頃から泣き虫だった自分を、ノブ君とハル君はいつも守ってくれた。二人ともアタシのヒーローよ。 父は当然ながらいい顏をしなかった。 それもそうよね。デカの息子とヤクザの息子。不釣り合いよね。 チカちゃんが庭に目を向けると、すぐに気付いた国井さんが満面の笑みを浮かべ手を振った。 一太や遥香、晴くんに未来くんも一緒に手を振ると、 「アタシは彼一途なのに。モテモテで困っちゃう」 両手をぱんと叩き甲高い声を上げた。 ドアがカタンと静かに開いて。 太惺と心望がひょっこりと姿を現した。 元気にはしゃぐお兄ちゃんとお姉ちゃんの声に気付いたのかな? あ~~う~~ にこっと笑うとハイハイでまっすぐに窓へ向かった。 「あら~~ちょっと可愛いんだけど。もしかしてハルくんの赤ちゃん?」 チカちゃんのテンションが一気に上がった。 「このままパパに似ずママに似てくれればいいんですけど………久し振りですね、千景さん」 二人の後ろから入ってきたのは橘さんと柚原さんだった。 「久し振りじゃないわよ。アタシの永遠のライバル。顔も見たくないのに」 ぷいと顔を横に逸らした。

ともだちにシェアしよう!