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番外編 マトリの女?

それを見たジウさん。 箸とお茶碗を那和さんに渡すと、弓削さんの前に立ち塞がった。 その隙にフーさんが空いた手で晴くんを抱き上げ、ウーさんが空いた手で一太を抱き上げて、素早く窓を開けると家の中に子どもたちを避難させ、腕を組み窓の前に仁王立ちになった。 「マー大丈夫?」 心望を抱っこした紗智さんと、箸を握ったままの那和さんがすぐに駆け寄ってくれて。 さらに、僕たちを庇うように国井さんとチカちゃんがすっと一歩前に立ってくれた。 「あのさぁ~~妊婦と赤ちゃんがいるのよ。それ分かってる?」 「コイツに言うだけ無駄だ」 国井さんが芫さんの目を盗み襟元にボソボソと小声で何かを話し掛けた。 「天ぷらは揚げたてが一番旨いんだ。素麺も茹でたてが一番旨いんだ。食べ物を粗末にするとあとでバチが当たるぞ。勿体ないおばけが出るって親に教えてもらわなかったのか?」 国井さんがジウさんを助けに行こうとした彼と信孝さんを止めた。 「芫、手が震えているぞ。おぃおぃ、大丈夫か?撃つなら弓削じゃなく、俺を撃て。それとも腕が鈍って撃てないのか?」 ニヤリと笑うと、わざと挑発するような言葉を並べた。

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