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番外編 ここにいても……いいの?本当に?

「信孝さんが一緒だからきっと大丈夫だよね?」 最悪の事態が脳裏を過った。 ナオさんを説得し、子どもたちとここに連れてくれば良かったと何度自分を責めたことか。 「柚原と腕の立つ若い衆を3人、向かわせたから、きっと大丈夫だ。ほら、未知がそんな顔ばかりしているから、陽葵が心配して、お腹をぽこぽこと蹴っているんじゃないのか?」 にこっと優しく微笑むと、お腹を優しく撫ででくれた。 今回の件で、浅井さんは懲戒審査委員会で処罰を受ける事になった。でも…… 組事務所を張り込んでいる最中、神隠しにあったように忽然と姿を消した。時間にしてほんの数分。同僚が目を離した一瞬の隙に。 出入口の前でたまたま煙草を吸っていた二人の若い衆が真っ先に同僚の刑事に疑われ、やってもいない罪で手錠を掛けられ有無言わさず警察署に連行されてしまった。 橘さんを伴い彼がすぐに警察署に向かい、防犯ビデオのデーターを証拠として提出し、何とかその日のうちに二人を返してもらったけど、 「疑われるようなことばかりしているからだ。これだからヤクザは……」馬鹿にするように見下され、謝罪は一切なかった。 「短い期間に浅井と皆藤がいっぺんに姿を消した。ダオレンが確実に俺たちに近付いている……そういうことだろうな。お、遥香」 幼稚園に行く準備を終えた遥香が、彼の足元にぎゅっとしがみ付いてきた。愛らしいその仕草に、それまで険しかった彼の表情がふっと緩んだ。

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