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番外編 ここにいても……いいの?本当に?

「そんな………」 しばらく呆然と、子どもたちの顔を眺めていたら、 「なぁに掠り傷だ。たいしたことはない。上澤先生がこれから来てくれることになっているから安心しろ」 優しい微笑みを浮かべながら、彼が声を掛けてくれた。 「お、太惺と心望もお利口さんにしてて偉いぞ」 たっちして橘さんの足にぎゅっとしがみつく二人を覗き込むと、頭を優しく撫で撫でしてくれた。 ひっきりなしに救急車やパトカーのサイレンの音が飛び交い、1時間近くは鳴り止むことはなかった。 「未知は、なんでもすぐに首を突っ込もうとするだろう。だから今回ばかりは大人しくしててくれ」と、詳しいことまでは教えてもらえなかったけれど、芫さんを逮捕したサツへの報復として、張り込んでいた警察車両が狙われ、多数の怪我人が出たみたいだったけれど、幸いにも死者は出なかったみたいだった。 この一件で、地竜《ディノン》に対し、捜査の手が及ぶかも知れないな。彼が心配していた。 「マー」 お昼前に亜優さんが根岸さんと伊澤さんと共に姿を見せた。 いまだマーって呼ぶのが慣れないみたいで、呼ぶたびに頬を赤らめる仕草がなんとも可愛らしい。 「鞠家が怪我したって聞いて、駆け付けたんだが、俺らはお邪魔虫だったようだ」 「亜優には、ちいと刺激が強かったな」 人目も憚らず、ここぞとばかりに紗智さんにべたべたと甘えまくる鞠家さん。普段とはまるっきり違うその姿に、上澤先生も唖然としていたから、まぁ、無理もない。

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