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番外編 ここにいても……いいの?本当に?

急遽幹部を集め、今後の対応を話し合った。その席上で、 「弓削が復帰するまで柚原に若頭代行をつとめてもらう。異論はないか?」 組長の言うことは絶対。彼に異論を唱えるものは誰一人としていなかった。 「は?俺?」 柚原さんはまさか自分が指名されるとは思っていなかったみたいで。目をぱちぱちしていた。 「あと誰がいるんですか?」 「俺より根岸が適任だ。事務局長だし、人望もある」 頑として首を横に振ろうとしない柚原さんを説得すべく橘さんは子どもたちに協力を頼んだ。 「本当のぱぱたんは、強くて格好良くて、何でも出来るのに、勿体ないですね。昼行灯の汚名を返上するいい機会なのに、残念です」 「いちた、カッコいいゆずはらさんしってる」 「ハルちゃんも!」 褒めて褒めて、いっぱい褒めてあげてください。 そうすればぱぱたんは、俄然、やる気になります。 さすが橘さんだ。柚原さんのことなら何でも知ってる。 「ゆずはらさん、いちたがおうえんしてる。がんばれー!」 「ハルちゃんも!ぱぱたん、がんばれー!」 二人に加勢するように、太惺と心望がお座りして、一太が折り紙とストローで急いで作ってくれた小さな旗を、遥香を見ながら一生懸命左右に振ってくれた。 「あ~~もう、たいくんに、ここちゃん、ストローはかじっては駄目だよ。奥まで入れちゃ駄目だよ。痛い痛いになるからね。あと、折り紙は食べちゃ駄目だよ」 ヒヤヒヤしながらも、嬉しそうに目を細めて眺めていた。 「分かった、やるよ、若頭代行でもなんでも。やると決めたら、ぱはたん、みんなをがっかりさせないように頑張るよ」 やっぱり根負けしたのは柚原さんだった。 「亜優まで一緒に旗を振ってくれたんだ。ありがとうな、シェ シェ」 少し離れたところで旗を振ってくれていた亜優さんに手を振ると、恥ずかしいのか目を逸らしてしまった。

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