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それでも俺は姐さんとともに生きていく

この病院に来た目的は実はもう1つある。 彼にはナオさんのお見舞いをしてくるとだけ伝えたから、バレたらあとで間違いなく怒られる。 「南先生から、無理のない範囲で運動するように言われているんだ。だから、階段でいく。ごめんね、せっかくエレベーターのボタンを押してくれたのに」 フーさんが大丈夫と首を横に振った。 上?下?何階? そう言ってるのかな?多分だけど。 「下、3階だよ。えっとね・・・・・」 人差し指を下に向け、指を3本立てた。 すると大きく頷き、軽やかな足取りで階段を駆け下りていった。 先に様子を見てくるってことかな? 「マー、ダイジョウブ?」 「うん、ありがとう」 「ユックリ、ユックリ」 お腹が大きくて足元が見えないから、右手で手すりに掴まり、左手でお腹を支え、転ばないように慎重に一段、一段ゆっくりと階段を下りた。 ウーさんはひやひやしながらも、7階から3階に着くまで、片時も側から離れず付き添ってくれた。 途中でフーさんが戻ってきてくれて。 少し前を進みながらも、僕のことを気にかけて何度も立ち止まり、その度に振り返り「ユックリ」そう声を掛けてくれた。 ナースステーションで受付をし、教えてもらった病室へと向かった。 会ってくれるかさえも分からないのに。ひとことだけどうしても彼に伝えたいことがあるから。 だから、追い返されるのを覚悟で会いに来た。 ドアの前で深呼吸すると、フーさんもウーさんも一緒に深呼吸をしてくれた。 当たって砕けろ‼ 二人ともそう言ってるのかな? だとしたら、ありがとう。 ちゃんと彼と向き合ってくるから、ここで待ってて。

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