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番外編 それでも俺は姐さんと生きていく

「それならこれからは僕が弓削さんを守る。それならいい?」 微かに震える手に自分の手をそっと重ねた。 「バレたらオヤジにぶっ殺される。手、離してください」 「嫌だ」 「姐さんは、一度言い出したら最後までやり通す、強いひとだ。姐さんの幸せは、俺の幸せでもある。姐さんが幸せならそれでいい」 困ったように微苦笑すると、空いたもう片方の腕を肩に伸ばしてきて。そっと静かに抱き寄せられた。 「ヤス、オヤジにもしチクったら半殺しの刑な」 ドスのきいた低い声にヤスさんの背筋がびくっと震え上がった。 「ヤスはなにも見てませんし、聞いてません」 慌てて後ろを向いた。 「一度でいいから胎動が聞きたかった」 男らしい精悍な声に思わずどきっとした。 「芫に好きだ、一緒に逃げよう。何度言われたかわからない。でも、俺は一生涯姐さんだけを愛する、側にいる、そう決めたんだ。姐さん以外の人を……芫をどうしても好きにはなれなかった。結果的に彼を傷付けてしまったが………これでやっと決心がついた」 様子を見にきたウーさんに睨まれ、弓削さんが慌てて手を離した。

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