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番外編 それでも俺は姐さんとともに生きていく

「そういえばさっき、隣の病室に入院している中国人同士が大きな声を出して何やら言い争いをしていたんだ。看護師さんたちが仲裁に入っていたけど、誰も中国語が分かる人がいないのか困っていた」 「そうなんだ。でも良かった、喧嘩に巻き込まれなくて」 「うん。でもね正直言うとね怖かった。だからお守りを握り締め一目散に逃げてきた。まさか未知にまた会えるなんて思わなかったからすごく嬉しかった」 「あんなことがあったばかりだもの。無理ないよ」 ナオさんとそのまま待合室の椅子に座り、喧嘩が治まるまでしばらくの間待つことにした。 「フーとウーはどこにいてもよく目立つからな。すぐに姐さんがいるって分かったぞ」 「しかしまぁ、なんでここに?」 弓削さんのお見舞いに来た根岸さんと伊澤さんに声を掛けられた。二人の背後には根岸さんのカバンを大事そうに抱える亜優さんがぴたりとくっついて歩いていた。3人の舎弟さんも一緒だ。 一通り説明すると、 「なるほどな」 根岸さんが舎弟さんたちに、7階の様子と、さっき声を掛けてきた女性を探してくるように頼んでくれた。 「ネギサン、イサン」 亜優さんがもじもじしながら二人に声を掛けた。 「言われなくても分かってる。マーと一緒にいたんだろう?しょうがねぇな。くれぐれもウーと喧嘩するんじゃねぇぞ」 うん、亜優さんが嬉しそうに大きく頷いた。

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