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番外編 それでも俺は姐さんとともに生きていく

ATMの前で3人の男性が大きな声を出して騒いでいた。なるべく目を合わせないように、目を伏せて横切った。 「なんだてメェーー!喧嘩売ってんのか!」 男のひとりが突然叫び、鬼の形相で僕たちを猛然と追い掛けてきた。お腹が重くてそんなに早く歩けないから、通用口に辿りつく前に追い付かれてしまった。 フーさんが毅然とした態度で男の進路を阻むように立ち塞がり、その隙にウーさんと外に出ようとしたけれど、ぱんぱんと乾いた音が2回鳴り響き、その直後、女性の悲鳴が上がった。 「ナオさん……亜優さん……伊澤さん……」 ついさっきまで一緒にいた3人の顔が浮かんできた。 「マー、ダメ」 みんなが心配で踵を返そうとしたら、ウーさんに止められた。 「イカナイ」 「でも………」 「ダイジョウブ」 ウーさんに手を引かれて外に出ようとしたら、 「金のなる木を早く生け捕りにしろ!」 突如として耳の裂けるような大声が狭い通路内に響いた。 日本語が分からなくてもフーさんもウーさんも何を言われたか男の顔から察したみたいで、眉を吊り上げ睨み返した。 「弱いヤツほどよく喚くとよく言ったもんだ。梶山組に勝てると思ってんのか?黙ってねぇで、なにか言いやがれ‼」 男はフーさんとウーさんが日本人だと思い込んでいた。 「おぃ、どこのどいつだ。俺の大事な姐さんをモノ呼ばわりするのは」 男たちの背後からヤスさんに肩を支えられ、すっと気配もなく姿を現したのは弓削さんだった。

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