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番外編 それでも俺は姐さんとともに生きていく
「尻尾を巻いて逃げやがったか。たく、人騒がせな連中だ」
「カシラ、病室に戻らないと、医者から大目玉を食らいます」
「ヤス、何度も言ってるが、もうカシラじゃねぇ。弓削さんって呼べ」
「んなこといきなり言われても」
ヤスさんがほとほと困り果てていた。
「弓削さん、あの」
「ヤクザは辞めないから安心しろ。ずっと前からやりたくて何度もオヤジに頼んでいたことにようやく許可が下りたんだ。長年の夢がようやく叶う。ヤス、戻るぞ」
弓削さんは上機嫌だった。鼻唄を口ずさみながら何事もなかったように歩き出した。
ヤスさんが途中で立ち止まるとなぜか戻ってきた。
「カシラの夢は姐さんの弾よけになり、一生側にいて守り続けることなんですよ。オヤジの焼きもち妬きは有名ですからね。カシラを姐さんの側にはどうしても置きたくなかったみたいです」
「え?」
予想もしていなかった言葉に驚いた。
「ヤス!余計なことをベラベラ喋ってんじゃねぇ。サツが彷徨いてんだ。見付かったら面倒だぞ」
「はい、今すぐ行きます」
頭を掻きながら、カシラのこと宜しくお願いします、頭をぺこりと下げて、慌てて走っていった。
弓削さんが、僕の弾よけ?
決してヤスさんの言葉を疑う訳じゃないけど。動揺していたらウーさんに、
「マー、ダイジョウブ?」
また心配を掛けてしまった。
「ごめんね。大丈夫だよ。フーさんもウーさんも守ってくれてありがとう」
にっこりと微笑んで返すと、フーさんが恥ずかしさに頬を赤くしながら通用口のドアを静かに開けてくれた。
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