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番外編 それでも俺は姐さんとともに生きていく

シロップや砂糖、ナッツやチョコが散りばめられたドーナツが所狭しと並んだ背の高いガラスケースを腰を屈めフーさんが興味深そうに覗き込んでいた。 「鳥飼さんにお土産を買ってあげたらきっと喜ぶよ」 言葉が通じるか不安だったけど、トングとトレイを渡すとにっこりと嬉しそうに微笑み、さっそく選んでいた。 ウ―さんはというと、マカロンなどの焼き菓子を熱心に眺めていた。若先生にプレゼントしたいのかな。目が合うなり頬を赤らめていた。 それからしばらく時間が過ぎて彼が迎えに来てくれた。 「なかなか帰って来ないから心配したんだぞ」 「ごめんなさい」 彼に内緒で弓削さんに会って来たことを咎められると覚悟はしていたけど、 「良かった無事で」 ほっと胸を撫で下ろすとお腹を優しく撫でてくれた。 「あの、遥琉さん」 「お礼を言うのは俺の方だ。弓削は袂を分かつことで自分なりにけじめを付けようとしていた。俺らの説得に一切耳を貸そうとはしなかった。でも、未知が弓削と話しをしてくれたお陰で彼を引き留めることができた。ありがとう」 微笑みながら言うと今度は頭を撫でてくれた。 「弓削はなどっかの誰かさんに若頭を丸投げされ、渋々引き受けてくれたんだ。俺の舎弟でいた方が未知と一緒にいることが出来るからな。弓削には苦労ばかり掛けさせたから、俺が一歩譲って弓削の望みを聞いてやる事にしたんだ」 どっかの誰かさんって一瞬誰だか分からなかったけれど、すぐに顔が浮かんできた。

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