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番外編 大切な人を守るための再出発と、決意
「タマが出所してくるのを待ちながらペンションを手伝うって両親に話したら、人生は一度きりだ。本当にやりたい事をしろ。儂らに遠慮する必要はない。そう言われて、気付いたら卯月に連絡をしていた。県警のお荷物だった俺に何が出来るか分からないけど、菱沼組には事あるごとにおぃ大丈夫か。無理すんなよって、こんな俺を心配し気に掛けてくれる卯月やおやっさんそれに鞠家がいる。恩返しするつもりで、卯月のもとで働きながらタマの帰りを待つことに決めたんだ」
重荷の一つをおろした蜂谷さんの表情は晴れ晴れとしていた。
「浅井は依然として消息不明のままだ。ここにきて楮山組の動きが活発化している。身重の未知をモノ呼ばわりするような連中だ。子どもは宝物なのにな、たく、一体何を考えているんだか。卯月から話しを聞いて無性に腹が立った」
「未知、まぁ、そういうことだ。面倒掛けるが頼む」
「あ、でも」
「家事全般担当の橘と紫さんの許可はもらってあるから食いっぱぐれる事はない。安心しろ」
「それなら良かった。橘さんと紫さんが作ってくれるご飯はすっごく美味しいから、楽しみにしてて」
蜂谷さんが、橘の料理はプロ並みだってお袋が絶賛していた。そう言いながら嬉しそうな笑顔を見せてくれた。
たいせつな人を守るための再出発。
蜂谷さんのその言葉に玉井さんへの深い愛情を感じた。一途なその想いが玉井さんにどうか届きますように。そう願わずにはいられなかった。
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