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番外編 誓う
「遥琉さんいた」
腕を前で組み神妙な面持ちで縁側に座る彼の姿を見付け声を掛けようとしたけど、鞠家さんと蜂谷さんが「卯月」、弓削さんが「オヤジ」とそれぞれ彼に声を掛け廊下に並んで正座したから声を掛けたくても掛けることが出来ず。少し離れた所に腰を下ろし足を崩して様子を見ることにした。
「上田が誰か最初分からなかった。息子や孫を語る詐欺や名義貸し詐欺、いわゆるなりすまし詐欺で全国に指名手配されている男なんだろう?」
「それにプラス女の敵だ。結婚願望のある40代、50代の未婚の女をカモにし言葉巧みに近付いて婚姻届を役所に出させ、女の名字を名乗り、また新たな犯罪に手を染める。バレそうになったら女に多額の借金を背負わせとんずらだ。女をクスリ漬けにするのも朝飯前だ。これだけのことをしても逮捕されない。そりゃあそうだ。ヤツは浅井のお気に入りだからな」
彼の問いに弓削さんが淡々と答えた。
「上田は危険な男だ。でも、逆にそこに惚れ込む悪党がいるのも確かだ」
「楮山が上田に食われるのも時間の問題だな」
蜂谷さんと鞠家さんも緊張し、どこか落ち着かない様子だった。
「ん?未知どうしたんだ?」
振り返り樣、彼が僕に気づいてくれた。
「急ぎじゃないから話しが終わるまで待ってる」
「俺を待っていたら夕方になるぞ。いいから話せ」
「あ、うん」
どうしようかなと一瞬躊躇したけど。
「あのね、一歩だけ、歩いたんだよ」
「そりゃあ、誰だって歩けるだろ?ちょと待て、もしかして・・・・」
「うん。橘さんをハイハイで追い掛けていた太惺がたっちして一歩だけ歩いたんだよ。心望もままたって言いながら一歩だけだけど」
「そうか、それは良かったな」
彼が歓喜の声を上げた。目が涙で微かに潤んでいた。
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