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番外編 誓う
「弓削さん、本当はもっと遥琉さんの側にいたいんでしょう」
「姐さん……」
弓削さんの体が一瞬だけ強ばった。
「姐さんはなんでもお見通しか。さすが播本さんの孫だ」
ふっと自嘲するように少しだけ笑った。
「オヤジの回りには将来有望な若いのが自然と集まってくる。その才能を発揮することなくこのままだとみんな埋もれてしまう。だから、後進に道を譲るって決めたんだ。もう後戻りはしない。俺は姐さんの弾よけを精一杯やるだけだ」
弓削さんがふと何かに気付き庭を見た。
その視線の先には庭掃除もそっちのけでフーさんといちゃつく鳥飼さんと、そんな二人を注意するヤスさんがいた。
「今回の件で一番辛い想いをしているのはヤツだ。楮山も上田も可愛がっていた舎弟だった。そのせいで本部の頭の固い幹部連中に質問責めにされ、いまも裏で繋がってんじゃねぇかって疑われて」
だからなんだ。
鳥飼さんがみんなに心配を掛けさせまいとわざと明るく振る舞っているのは。
「オヤジが鳥飼を庇った。オヤジだけじゃない。裕貴さんや、遼成さんも。鳥飼は正真正銘、菱沼組の人間だ。過去なんてどうでもいいだろうって」
「僕もそう思う。フーさんと一緒にいる鳥飼さん、すごく幸せそうだもの」
「人目も憚らず、ところ構わずいちゃつくのは問題ありだとは思うが、姐さんがそう言うなら」
弓削さんと並んで会話をしていたら、誰かに見られているような気がして。後ろを振り返るとウーさんがむすっとして弓削さんを睨み付けていた。
「なんだウー。一丁前に焼きもちを妬くようになったのか。人間らしい感情が戻って良かったな」
弓削さんが嬉しそうに笑った。
「いつまで彼氏を待たせる気だ?いい加減身を固めたらどうだ?といっても通じないか」
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