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番外編 誓う

「未知、少しいいか」 お風呂場から賑やかな子どもたちの声が響いていた。裸で逃げ回る太惺と心望を追い掛ける橘さんと柚原さんのあとについて、着替えとバスタオルを持って歩いていたら鞠家さんに声を掛けられた。紗智さんが服にしがみつき寄り添っていた。 「もしかして今夜出発するんですか?」 「あぁ。千里から連絡があってダンベイの投資会社に銃弾が撃ち込まれた。恐らく楮山組の仕業だろう。それと国井に会って詳しい話しを聞いてくる。未知……いや、俺も姐さんと呼ばないといけないな」 「今まで通り未知でいいです。鞠家さんまで姐さんって呼ばれたら、どうしていいか分りません」 「じゃあ慣れるまで今まで通り未知って呼ぶことにするよ。でもまさか卯月をオヤジと呼ぶ日が来るとな。人生何が起こるか分からないな。未知に紗智のことを頼みたくて声を掛けたんだ。ごめんな忙しいのに。俺にもし万が一のことがあったら紗智を……妻をどうか頼む」 鞠家さんに頭を下げられ慌てた。 「頭をあげて下さい。そんな万が一のことなんてある訳ないです」 着替えとタオルをぎゅっと抱き締めぶんぶんと首を横に振った。 「どうか命だけは大切にして下さい。絶対に無茶しないで下さい。紗智さんのところに必ず帰ってきてください」 「ありがとう未知。紗智、今生の別れじゃないんだ。頼むからもう泣かないでくれ」 にっこりと微笑むと、声を押し殺して泣きじゃくる紗智さんの頭を優しく撫でた。

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