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番外編誓う

「鷲崎からだ。あ、ちょっと待て!スマホを噛るな、食べても美味しくないぞ」 彼からスマホを差し出され受け取とろうと手を伸ばしたら、彼の背後からハイハイでそぉーと近付いてきた太惺に持っていかれた。 「紗智、那和、玩具の携帯を持ってきてくれ」 取り上げようとしたら下唇をこれでもかと伸ばされてしまい、慌ててふたりを呼んだ。 『もしかしてたいくんか?おじちゃんが誰か覚えてくれてるかな?』 鷲崎さんの声にぴくっと反応する太惺。 「あ~う~」何でスマホから声が聞こえるのかな?不思議そうに首を傾げながらスマホをじっと見詰め「じ~じ」一生懸命話し掛けていた。 『そんなに熱烈にラブコールされたら、おじちゃんもななちゃんもたいくんに会いたくなるじゃねぇか』 ズズっと鼻を啜る音が漏れ聞こえてきた。 『五月蝿いな、嬉し涙だよ。笑いたければ笑え』 七海さんが側にいるのかな? 電話越しでもふたりの仲睦まじい様子が垣間見ることが出来て、僕まで幸せな気持ちになれた。 「たいくん用のもしもしはこっちだよ」 紗智さんが玩具の携帯と、大好きなバナナプリンを持ってきてくれた。 「まんま」すぐに大好物を見付けた太惺。 スマホを布団の上にぽんと置くと手を伸ばした。

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