1318 / 3283

番外編 想う

橘さんから渡されたのは【花まもり】と書かれたた、かわいらしいストラップの鈴の付いたお守りだった。 「根岸さんと伊澤さんと3人で、市内にあるK大神宮で未知さんの病気が早く治るようにと病気平癒の祈祷を受けてきたそうです。普通は病気治癒か安産のお守りなんでしょうけど、亜優さんらしいですね」 「嬉しい」 そっと両手で握り締めた。 「夕飯は紗智さんと那和さん亜優さん、3兄弟で仲良く台所に立ってなにやら作ってますので楽しみにして待っててください」 「わぁーなんだろう。すごく楽しみ」 「それまでゆっくりと休んでいてください」 橘さんがテレビのスイッチを入れてくれた。 ちょうど全国のニュースを報じていた。 「あ、この人」 テレビの画面に映し出された人物を見て思わず声をあげた。 「古狸に瓜二つと聞きましたが、まさにその通りですね」 「それはそうなんだけど、その人の後ろ。サングラスを掛けていない方の人、目の辺りがなんか芫さんに似てない?」 写ったのはほんの一瞬だけだったからあまり自信はないけど、芫さんの顔を見間違えたりはしない。

ともだちにシェアしよう!