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番外編 想う

その直後橘さんのスマホがブルブルと振動した。 「どうやら未知さんの他にもそのことに気付いた人がいるみたいですよ」 画面を見つめ呟いた。 「橘さん?」 「千里と話し合いをしていた鞠家さんと蜂谷さん、それに国井さんが、そのことにすぐに気付いたみたいです。もしかしたら病院で未知さんに声を掛けた女性がもう一人の芫さんかも知れないと」 「そんなまさか」 「突拍子もないことかも知れませんが意外と当たっているかも知れませんよ」 すっと橘さんが立ち上がった。 「未知さんに似顔絵作成の協力を仰ぐために甲崎さんがこっちに向かっているそうです。 遥琉に知らせてきますね」 そう言うと急ぎ足で向かった。 「橘が慌ててるなんて珍しい。ね、紗智」 「うん」 入れ違いに紗智さんと那和さんが夕御飯を運んできてくれた。 亜優さんは飲み物を持ってきてくれた。 「具合が悪いとき、あの地竜がねわざわざ作ってくれたんだよ。マーの国のお粥とはちょっと違うかも」 膝の上にランチョンマットを敷いて手にそっと握らせてくれた。 「お粥、はじめて作った。地竜が作ってくれるお粥には到底及ばないけどね」 鶏肉と葱の美味しそうな匂いが鼻を擽る。 「ありがとうみんな」 スプーンを手に取りお粥を一匙掬い上げると冷ましながらゆっくりと口に運んだ。鶏肉のダシがきいたしっかりとした味付けがすごく美味しい。 「良かった」 紗智さんか亜優さんに通訳してくれた。 「それにしても地竜どこで何をしているんだろう」 「連絡ないマー?」 「うん。陽葵が産まれたら帰ってくるって言ったきり」 「そうか」 ふたりが心配そうに顔を見合わせた。

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