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番外編千ちゃんLOVE
「こんな感じの女性でしたか?」
スケッチブックに描いた似顔絵を見せてもらった。
「そうこんな感じです。ふわふわした感じで、すこし茶色かかった長い髪を一本に編み込んで肩に垂らしていました。日本語のイントネーションがおかしかったです」
「その病院で何か気になることはありませんでしたか?ほんの些細なことでも、なんでも構いません。思い出したことがあれば教えてください」
「そう急に言われても」
うんうん唸りながら、ナオさんと弓削さんの見舞いに行った日のことを何とか思い出そうと頭をひねった。
「あ、そうだ。お守りをどこかに落としてナオさんに拾ってもらったんだ」
「お守りですか?」
「はい」亜優さんから昨日プレゼントされたお守りと、安産のお守りをリュックサックから持ってきてもらうように彼に頼んだ。
「今だから言えることだけど、なんか違和感があったんです。上手く説明出来なくてごめんなさい」
「いいえ大丈夫です」
沼尾さんはずっとニコニコしていた。いままで会ったことがない、ちょっと変わった刑事さんだ。
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