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番外編 千ちゃんLOVE

「みんなからの善意だ。有り難く受け取ったらいいんだ。温泉旅館でゆっくりのんびりしてきたらいい。積もる話しもあるだろう。亜優は俺が面倒をみるから、安心して行ってこい」 彼が根岸さんの肩をぽんぽんと軽く叩いた。 「すみませんオヤジ」 根岸さんが深々と頭を下げた。伊澤さんも一緒に頭を下げた。 「ハルくん、格好いい!」 ことのなり行きを見守っていたチカちゃんがパチンと両手を叩き一際甲高い声を上げた。 「チカ、頼むから手を動かしてくれ。子どもたちがいつ乱入してくるか分からないんだから」 「はぁ~い」 生返事をすると面倒くさそうに白い粉を見つめ、はぁ~とひとつため息をついていた。 「未知さん誰かをお探しですか?」 橘さんに声を掛けられドキッとした。 「大人しく寝てなくてごめんなさい。あの、そうだ。遥琉さん、お昼食べに来なかったから。心配で」 「一食抜いただけで死にはしませんよ」 クスッと笑われてしまった。 「遥琉は奥の書斎にいますよ」 「様子見てきてもいいですか?」 「えぇ」 客人の相手は根岸さんと伊澤さんと柚原さんがしててくれている。 僕が出来ることといったらお茶出しくらい。チカちゃんたちのお仕事の邪魔にならないようになるべく静かにしないと。 「遥琉さん」 書斎へ足をむけ、ノックをしたけど返事がなかった。 昨夜も何度か僕の様子を見に来てくれたり、子どもたちの夜泣きでほとんど寝ていないはず。 もしかして倒れているのではと青くなりながら、慌ててドアを開けた。するといるはずの彼の姿が見当たらなかった。

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