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番外編 千ちゃんLOVE
「人聞き悪いわね。アタシ、別に脅してないわよ。たまたま県警の科学捜査研究所に知り合いがいたから鑑定を依頼しただけよ。嘘つきは泥棒さんのはじまりってよく言うじゃない。ね、一太くん、ハルちゃん」
明日には鑑定結果が出るみたいでチカちゃんはこのまま泊まることになり、子どもたちは遊んでもらえると大喜びしていた。
一方の甲崎さんはなぜか斉木先生に会いに岳温泉へ電車で向かった。最寄りの二本松駅で下車し斉木先生が迎えに来てくれるのを待つみたい。
揃いも揃って彼以外みんな酒豪。
松尾さんは「下戸なので呑めません」と丁重に断っていたけど、俺らの祝い酒が呑めんのかと、ほろ酔い気分の根岸さんに絡まれ、一口だけ口に運んだ。すると一分も掛からず眠り込んでしまった。
「沼尾は相変わらず酒に弱いな」
伊澤さんが着ていた上着を脱いで体に掛けてあげると、根岸さんがむすっとしてその上着をすぐに奪い取った。
「沼尾が風邪をひく」
「若いんだ。大丈夫だ。それとも、俺よりコイツの方がいいのか?」
「あ?な訳ないだろう」
根岸さんが焼きもちを妬いているのは態度ですぐに分かった。
彼か「まぁまぁ」と二人を宥め、若い衆に毛布を持ってくるように頼んでくれた。
外ではチカちゃんがお土産として持ってきてくれたシャボン玉で子どもたちが遊んでいた。シャボン玉自体はじめて見る亜優さん。一太に手取り足取り教えてもらいながら、見よう見まねで遊びはじめた。
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