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番外編 若先生とウーさん

縁側に仲良く並んで座りひなたぼっこする若先生とウーさん。久し振りに会う二人。若先生がウーさんに話したいことが山のようにあるって言っていたから、きっと話しが弾んでいるのだろう。二人ともずっと笑顔だ。見ていて微笑ましい。 通訳として呼ばれた那和さん。邪魔にならないよう、二人の後ろに静かに座っていた。 「H総合病院に知り合いがいるらしく、小児科の医師として来ないかと誘われているらしい」 「H総合病院?」 「あぁ。駅裏にある大きな病院だ。藤平が産んだ男の子はH総合病院に転院して今も懸命な治療が続けられている。名前を聞いたんだが度忘れたした。あとでちゃんと聞いておくな」 「うん。ねぇ遥琉さん、若先生って小児科の先生だったんだ。てっきり内科のお医者さんかと思っていた」 「俺もだ。意外すぎて驚いた。でも若先生は無類の子供好きだから。あぁ、なるほどなってすぐに納得したけどな。H総合病院に勤務すればいつでもウーや子供に会える」 「そうなったら斉木先生一人になっちゃうよ」 「生涯現役。80才まで千里のファンと医者を続けると言ってるし。まぁ、惣一郎さんや和江さん、近所の人たちが近くにいるから心配はいらないんじゃないかな」 そこで言葉を止めると眉をきゅうっとひそめた。 「未知、一太を迎えに行ってくる。何か嫌な予感がしてならないんだ。柚原!フー!」 彼が二人の名前を呼ぶとものの数秒で駆け付けてくれた。

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