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番外編 いつかこの想いが届きますように
その日の夕方。裕貴さん、遼成さん、鷲崎さん、鞠家さんとオンラインミーティングをはじめた彼。その席上で鞠家さん以外の3人に根岸さんと伊澤さんのことをはじめて伝えた。
『根岸と伊澤にうまい具合に逃げられないようにまずは外堀から埋めないとな』薄々ふたりの関係に勘づいていた遼成さんと鷲崎さんに対し、裕貴さんは寝耳に水だったみたいでかなり驚いていた。
「余計なお世話だとは分かってるけど、根岸さんのご家族にもお祝いの席に是非参列して欲しいんだ。でもよくよく考えてみたら根岸さんのこと全然知らなくて」
『遥琉にも面と向かって聞けないものな。分かるよその気持ち。裕貴、未知の代わりに上総さんに聞いたらどうだ?』
『何で俺?』
『あと誰がいるんだよ』
遼成さんのモニターの下の方に小さな頭がふたつ、ちらちらと見え隠れしていた。
『お、見ないうちに大きくなったな』
『何にでも興味を示して弄くるから大変だよ。笹原と千里の子どもたちとは思えないくらい二人とも可愛いぞ。見てて癒されるぞ』
遼成さんの声が弾んでいた。
すると今度は裕貴さんのモニターに手を振る小さな手が写り込んだ。
『ちょっと待て。パパ、今お仕事中だから』
抱っこをせがんでいるみたいだった。
普段は決して見せないパパとしての顔。
みんな子煩悩で家族想いだ。
「根岸も家族と向き合ういいチャンスかもしれないな。裕貴、梶山組とにらめっこしている真っ最中で手が離せないと思うが、頼んでもいいか?」
『しょうがないな。頼まれてやるか』
「裕貴さん、僕の方からもお願いします」
ペコリと頭をさげた。
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