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番外編いつかこの思いが届きますように

芫さんに付き添い警察署に赴いた弓削さんに、 「彼に、惚れたんですか?」 橘さんが眉を吊り上げ詰め寄ったことがあった。 「唯我独尊な男にか?な訳あるか」 なんとも歯切れの悪い弓削さんに、橘さんがクスっと苦笑いしていた。 「勘違いするなよ。ヤツが好きなのは俺じゃない」 「分かってますよ。貴方を抱きながら、他の男の名前を口にするような最低、最悪な男ですものね」 「ちょっと待て!そういう話しは子どもたちの前では禁句。いいな?」 慌ててながら、しーと人差し指を唇の前に立てた。 「大きい子どもたちの前では別にいいでしょう。減るものじゃありませんし」 「あのな、橘…………」 弓削さんがやれやれとため息をついていた。 今の僕に出来ることといったら励ますことくらいしかない。『頑張って』が弓削さんに逆にとって重荷になってしまうかも知れない。それなら、 「弓削さん、こっちに戻ってきたらデートしよう。クリームボックスの食べ歩きなんてどうかな?本屋さんの隣に新しくパンやさんがオープンするんだって。カフェも併設されてあるみたいだから一緒にお茶しよう」 体重が増えすぎると浮腫の原因になるから、甘いものをなるべく控えて我慢している。 根岸さんと伊澤さんがたまには兄弟水入らずの時間があってもいいだろう。こそこそ隠れてないで堂々としてればいいんだよ。紗智さんと那和さん亜優さんを連れ、市内のパン屋さんで販売しているソウルフードのクリームボックスの食べ歩きに連れていってもらったことがある。 弓削さんも甘党で、小さい頃から食べ続けているクリームボックスに関してはちょっと五月蝿い。 『弓削が頷いた。嬉しそうだ』 それまで沈んでいた鷲崎さんの声が弾んだ。

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