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番外編 いつかこの思いが届きますように
亜優さんはなんだかんだいいながらも一番自分の面倒をみてくれる根岸さんをネギさん、伊澤さんをイザさんと呼び慕ってる。
サプライズでふたりのお祝いするよ。紗智さんと那和さんから伝えられると嬉しそうに破顔した。
そこへ根岸さんと伊澤さんが仲良く連れ立って姿を現した。
「亜優、さっきのことはふたりには内緒だよ。だからしーだよ」
紗智さんが小声で伝えると、それを那和さんがすぐに訳してくれた。
「亜優も紗智もなにも悪いことしていないんだ。なんでこそこそ隠れなきゃいけないんだ」
根岸さんが苛立ちを露にしながらどかと腰を下ろした。
「とんだとばっちりだな」
幹部でもなんでもない俺が上座に座るわけにはいかないからと伊澤さんが根岸さんから離れたところに座ろうとしたら、根岸さんが座布団を隣に手繰り寄せぽんぽんと軽く叩いた。
「さっきも言っただろう。俺は幹部でもなんでもないんだ。他の者に示しがつかない」
「オヤジに挨拶がまだだ。こっち来い」
根岸さんに手招きされ、幹部の皆さんの視線をチラチラと気にしながら移動すると、根岸さんに促されゆっくりと腰を下ろした。
「先に言っとくが姐さんに言われたからじゃないぞ」
彼を真っ直ぐに見つめた。
「公私混同するつもりもない」
根岸さんが伊澤さんの手の甲にそっと手を重ねると、
「オヤジ、伊澤と添い遂げる覚悟を決めた。隠さず堂々と付き合う」
決意の言葉を力強く述べた。
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