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番外編 いつかこの思いが届きますように
「えぇ~~!」
ひっくり返るような甲高い声が廊下から聞こえてきた。
「なんだまだいたのか」
「だってぇ~おやっさんが来るって小耳に入っちゃったんだもの。アタシ何も聞いてないわよ」
てっきり甲崎さんや沼尾さんからふたりの関係を聞いているものと思っていた彼。
「まぁそういうことだ。新婚さんに野暮なことは聞くなよ」
「ちょっとそれ酷くない?」
「てか早く帰れ」
「なんでそう冷たくするの?」
不満を露にし唇を真一文字に結んだ。
「ここにいたら危ないからだ。ついさっき隣接するS市で中古車販売を経営する男が射殺された。男は楮山組の二次団体の組の構成員で、近県で多発している高級車窃盗の容疑でサツがひそかに捜査をしていた。蜂谷からの情報だ。信憑性はある」
腕を前で組み険しい表情を浮かべた。
「こんな状況だ。僅かな綻びでさえ奴らは見逃さないだろう。もう一人の芫も何をしでかすか分からないんだ。今は大人しく仙台に帰れ。チカだってまだ新婚ほやほやなんだ。国井を一人にするな」
「ハルくん」
チカちゃんがつかつかと座敷に入ってきた。
「アタシもダーリンもとうの昔に腹を括ってる。それにそんなに柔じゃないわよ」
「知ってる。だからこそ無茶をしないか心配なんだ」
「乾、卯月さんの言うことも一理ある。捜査は県警と甲崎らに任せて一旦戻れ」
伊澤さんもかつて部下だったチカちゃんを心配していた。
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