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番外編 いつかこの思いが届きますように
「ふたりとも過保護だと思わないか?」
「お義父さんも一太たちを目に入れても痛くないくらい可愛がってくれるんだよ」
「まぁ、はたから見たらお爺ちゃんと孫だからな。まぁ、しょうがねぇか。てか、俺らどこに寝る?」
「えっと……」
言葉に詰まってしまった。
三つ並んで敷いた布団に総勢8人の子供たちが仲良く川の字で眠っている。亜優さんが淋しくないようにたまにはみんなで寝よう、一太の提案を紗智さんや那和さん、まさかのウーさんまで快諾してくれた。
一太を真ん中にウーさんと亜優さんが添い寝してくれている。ふたりとも布団から体がはみ出してかなり窮屈なはずなのに幸せそうな寝顔で熟睡中だ。遥香には紗智さんが、太惺と心望には那和さんがそれぞれ添い寝してくれている。
「狭くなるけどもう一組布団を敷こう」
彼が押入れに向かおうと立ち上がったらすっと静かに襖戸が開いた。
「遥琉、寝る前に折り入って相談したいことがあります。柚原さんはこの通り酔っぱらって寝てしまったので気にしないでください」
柚原さんは橘さんの膝を枕代わりにして規則正しい寝息を立てていた。
「根岸さんの息子はヤミ金に手を出し、梶山組から逃げ回っているみたいです。どういった経緯でそうなったか、蜂谷さんに至急調べてもらっています」
「深い事情がありそうだな」
「そうですね。このことを根岸さんは人伝にすでに聞いているかも知れません」
「そうか。無茶をしなければいいが」
彼が心配そうに眉を寄せた。
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