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番外編 いつかこの思いが届きますように

「なぁ橘、取り越し苦労ならそれでいいんだが、借金取りから逃げるため、ガキがいたのでは足手まといになるからって、置き去りにしないだろうな」 「ないとは言い切れませんね」 「根岸の孫は幾つぐらいなんだ?」 「一太くんと然程変わらないかも知れません」 「そうか」 眉をひそめ唇を噛んだ。 「もしも根岸の息子と孫が助けを求めてここに逃げてきたら俺は迷うことなく匿うと思う」 「あり得ない話しですが、その時は反対はしません」 「未知は?」 「僕も反対しない」 「根岸と息子が顔を合わせて、膝を割ってちゃんと話し合うことが出来れば誤解も解けて互いに歩み寄る足かがりになるんだが。そう簡単には・・・・・一筋縄ではいかなそうだな」 口を真一文字に結び腕を前で組んだ。 「これで私からの話しは終わりです。あとは邪魔しませんので」 すっーと襖戸がしまった。 「未知、鞠家と蜂谷と少しだけ話しをしてくる。先に寝てていいぞ。俺がいない間にもし夜泣きがはじまったら橘に声を掛けろ」 彼が部屋の端に布団を敷いてくれた。 「遥琉さん」 離れたくなくて。咄嗟に袖を掴んだ。 「たく、しょうがねぇな」 やれやれとため息をつきながらも、顔中を嬉しそうに綻ばせると、ぎゅっと肩を抱き締めてくれた。

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