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番外編 いつかこの思いが届きますように

「どうすんだ?このままっていう訳にはいかねぇだろう」 「オヤジ、奏音のランドセルにこれが入っていた」 根岸さんが神妙な面持ちで大きめの茶封筒を彼に渡した。 「バカ息子……じゃねな、息子の名前は悠仁(ゆうじ)ってんだが、上田を脅して逆に楮山組に目を付けられハメられた。まぁ、そんな感じだ。お前には根岸滉大(ねぎし こうだい)って名前のじいちゃんがいる。駅前にある大きなビルに【菱沼金融】って書いてある会社があるからそこに行けば会える。そこで面倒を見てもらえって書いてある」 「あの上田を脅したって?」 鳥飼さんが目の色を変えて駆け込んできた。 「すみません。フーを 迎えに来たら上田の名前が聞こえてきたので」 「いや、構わないさ。鳥飼、何か思い当たる節があるのか?」 「上田を訴えようとしても楮山らの報復を恐れ被害者は二の足を踏んでいた。根岸の息子も被害者だったのかも知れない」 「なるほどな」 中に入っていた手紙に一通り目を通したのち、根岸さんに封筒を返そうとしたら何か黒いものがバラバラと床に落ちた。 「フロッピーディスクか、懐かしいな」 1枚ずつ拾い上げる彼。全部で5枚あった。

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