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番外編 いつかこの思いが届きますように
「根岸が孫を連れて来たって小耳に挟んだんだが」
敬老会の日帰り旅行で朝から家を留守にしていた度会さんと紫さんが帰ってきた。
「なにかと面倒を見てくれる橘と柚原にべったりで離れようとしない。ハルちゃんやたいくんやここちゃんは、ままたんとぱぱたんを取られたと思い込んで焼きもちを妬くし、大変だったんだ。ついさっきまで誰がままたんとぱぱたんの隣で寝るか大騒ぎしていた。やっと静かになった」
彼が深いため息をついた。
「たいくんもここちゃんも一丁前に焼きもちを妬くようになったのか。相変わらずままたんとぱぱたんはモテモテだな」
「橘も柚原も子煩悩で面倒見がいい。頭ごなしに怒るのではなく、なんで駄目なのかを奏音が理解するまで根気よく何回も教えていた」
「誰かさんには手加減一切なし。容赦ないくらい手厳しいのにな」
「度会さん、勘弁してください」
苦笑いを浮かべながら頭を掻く彼に、紫さんが口に手をあて、おほほと上品に笑っていた。
「フロッピーディスクは耐久性がない。中のデーターが消える前にパソコン本体やUSBメモリにコピーした方がいいぞ。すでに中のデータが破損している可能性もなきしもあらずだが、明日商工会から外付けのフロッピーディスクドライブを借りてくる。それで中を確認したらいい」
「助かります」
「隠居の身だ。これくらいしか出来ねぇがな。お、根岸、悪いな呼び出して」
「いいえ大丈夫です」根岸さんが腰を九の字に曲げた。
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