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番外編 ハルちゃんと奏音くん
お腹が張って立っているのもしんどくて、籠に入った山のような洗濯物を眺めては、はぁ~とため息をついていたら、遥香がママのおてつだいする!ニコニコと笑いながら駆けてきた。
「ありがとう遥香」
紗智さんと那和さんは太惺と心望をそれぞれ背中に抱っこ紐でおんぶしてくれて干すのを手伝ってくれた。
フーさんと警備をしていたウーさんが、こっちが気になるようで、チラチラと何度も見ていた。
「おいでウーしゃん」
遥香に手招きされると、フーさんに話し掛け軽く頭を下げると遥香たちのところに来てくれた。
太惺と心望がキャキャと声を立てて笑いながらウーさんに向かって懸命に小さなお手手を伸ばした。
「マー、写真だって。弓削に送ったら元気になるって」
スマホをポケットから出し、戸に掴まりながら立とうとしたらフーさんが来てくれて。僕の代わりに子どもたちの写真を何枚も撮影してくれた。お日様に負けないくらいキラキラと輝く子どもたちの元気な笑顔に、きっと弓削さんも癒されて元気になってくれるはず。
「鷲崎、たいくん見たら間違いなく号泣するね」
「だね」
紗智さんと那和さんが顔を見合わすなりぷぷと笑い出した。
あんなに天気がよかったのに。急に辺りが薄暗くなり空を見上げると、無数の烏の群れがかあかあと鳴きながら空を覆かのように飛び交っていた。
「乌鸦嘴」
フーさんもウーさんも不安げな眼差しで空を見上げた。
「カラスは中国でも不吉な鳥。 縁起でもないことや不吉なことをいう人のこと」
紗智さんが教えてくれた。
何事もなく、無事にみんなが帰ってきますように、心のなかでそう願った。
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