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番外編 ハルちゃんと奏音くん
「バーバ遅いね」
「ままたんとぱぱたんも一緒だから大丈夫だとは思うんだけどね」
紗智さんと那和さんが時計をしきりに気にしていた。
「ママ!せんりおねえちゃん、テレビにうつってるよ!」
遥香がリモコンをぶんぶんと振り回しながら走ってきた。
「リモコンは振り回したら危ないよ。たいくんとここちゃんにもし当たったら大変だからママにちょうだい」
「はぁ~い」
遥香からリモコンをもらい、とりあえずポケットにしまった。
「千里がテレビに映っている。ということは、梶山組に宣戦布告したか、一悶着あったか。そのどっちかだよね」
那和さんが居間に置いてあるテレビを付けてくれた。
「あれ?なんで?」
きょとんとして首を傾げると、手元のリモコンを操作しチャンネルを回した。
「那和さん、どうしたの?」
「千里だけじゃないの。映ってるの」
「どういうこと?」
意味が分からずテレビの画面を一緒に見ると、千里さんだけでなく、裕貴さん、遼成さんがマスコミからの取材をそれぞれの自宅で受けている模様がちょうど放送されていた。
「着物姿の千里すっごく綺麗だね。裕貴と遼成は相変わらずカッコいい。まるで俳優みたい」
「ヤクザだと思えないくらいのルックスだよね。それでいてふたりとも愛妻家で。浮わついた話し全然ないもの」
「龍成さんだっけ?すっかり落ち着いたみたい」
「あんだけチャラチャラしていたのが?」
「うん」
「へぇ~~」
よほど意外だったのか声が裏返っていた。
先手必勝とばかりに自分が告発される前に、
古狸に瓜二つの与党大物議員が、昇龍会が中国のマフィア・死神と結託し、違法薬物を売買していると、根も葉もない濡れ衣を着せ告発したのだ。
「地竜さん……大丈夫かな?」
翡翠のブレスレットに目を落とした。
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