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番外編 ハルちゃんと奏音くん

「▲△○×◇…隠れてないで出てこい。お前を迎えに来た訳じゃない」 流暢な中国語のあと日本語で話し掛けた。 「亜優、ほら」 「会いたいって言ってなかったか?」 根岸さんと伊澤さんに促され物陰から亜優さんがそぉーと姿を現した。 「組事務所から動くなと言ったはずだ」 彼が眉間に皺を寄せた。 「あんなのデリバリーされたら誰だってたまげる」 「俺だって根岸と伊澤が結婚するって聞いてびっくりした。紹興酒は祝い酒だ」 「俺が言ってるのはそれじゃない」 「シルバーのアナル……」 「ちょっと待った!亜優はお前と違ってまだぴゅあなんだ。口に出していうヤツがあるか」 根岸さんが真っ赤になって慌てはじめた。 「結婚祝いに、大人のオモチャ一式を送りつけたらしい」 彼が小声で言いにくそうに教えてくれた。 僕もどうしていいか分からず、えへへと愛想笑いをして誤魔化した。 「亜優、俺は中国人医師・周(ヂョウ)思齐(スーチー)として来日した。しばらく日本に滞在し支援してくれるスポンサーを探す予定だ」 毛を逆立てて警戒心マックスで睨み付けられ、地竜さんはほとほと困り果てていた。 「だったら、どうしたら許してくれるんだ」 亜優さんが頬っぺをこれでもかと膨らませ言葉を返した。 「俺だって中国に帰らず愛人(アイレン)と子どもたちとここで暮らしたい。でもそれは無理な話しだ」 地竜さんが寂しそうにぽつりと呟いた。

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