1381 / 3282
番外編 ハルちゃんと奏音くん
「▲△○×◇…隠れてないで出てこい。お前を迎えに来た訳じゃない」
流暢な中国語のあと日本語で話し掛けた。
「亜優、ほら」
「会いたいって言ってなかったか?」
根岸さんと伊澤さんに促され物陰から亜優さんがそぉーと姿を現した。
「組事務所から動くなと言ったはずだ」
彼が眉間に皺を寄せた。
「あんなのデリバリーされたら誰だってたまげる」
「俺だって根岸と伊澤が結婚するって聞いてびっくりした。紹興酒は祝い酒だ」
「俺が言ってるのはそれじゃない」
「シルバーのアナル……」
「ちょっと待った!亜優はお前と違ってまだぴゅあなんだ。口に出していうヤツがあるか」
根岸さんが真っ赤になって慌てはじめた。
「結婚祝いに、大人のオモチャ一式を送りつけたらしい」
彼が小声で言いにくそうに教えてくれた。
僕もどうしていいか分からず、えへへと愛想笑いをして誤魔化した。
「亜優、俺は中国人医師・周(ヂョウ)思齐(スーチー)として来日した。しばらく日本に滞在し支援してくれるスポンサーを探す予定だ」
毛を逆立てて警戒心マックスで睨み付けられ、地竜さんはほとほと困り果てていた。
「だったら、どうしたら許してくれるんだ」
亜優さんが頬っぺをこれでもかと膨らませ言葉を返した。
「俺だって中国に帰らず愛人 と子どもたちとここで暮らしたい。でもそれは無理な話しだ」
地竜さんが寂しそうにぽつりと呟いた。
ともだちにシェアしよう!