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番外編 ハルちゃん
肩甲骨までのストレートの黒髪は首の後ろでバレッタでまとめ、眼鏡もシンプルなダークグレイ。外見は決して派手でなく服装もメイクもシンプルでナチュラルで。小柄で細身の女性だった。
「奏音」
柚原さんが奏音くんの隣に移動しどかっと腰を下ろした。太惺はハイハイでぱぱたんのあとを追い掛け、右膝の上によいしょよいしょとよじ登りちょこんと座った。
「大丈夫だ。もう怖くない」
空いている腕で奏音くんを抱き寄せると、太惺が小さなお手手を懸命に伸ばし頭をぽんぽんと軽く撫でた。
「ぱぱたん、たいくん、ありがとう」
奏音くんの目が涙で潤んでいた。
「よっぽど怖い思いをしたんだろう」
柚原さんの問い掛けに奏音くんが小さく頷くと、
「いちたくんパパ、かなた、うそついた。ごめんなさい」
ぺこりと頭を下げた。
「この人、パパがね、かなたの新しいママだって会わせてくれた。パパがいるときはすごくやさしい。でも、パパがいないと、すぐたたくんだ。ごめんなさいってあやまっても、いっぱいたたくんだ」
「そうか。よく話してくれたな。偉いぞ」
声を震わせながらも懸命に言葉を継いだ奏音くんに、優しく微笑みながら彼が声を掛け頭を撫でてうんと褒めた。
柚原さんも一太も、紗智さんも那和さんも、橘さんも、その場に居合わせたみんなで奏音くんを褒めた。
「人は見かけによらないとよく言いますからね」
橘さんがネットを駆使しその女性のことを早速調べはじめた。
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