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番外編 ハルちゃんと奏音くん

「姐さんの読みは意外と当たってるかも知れない」 柚原さんがスマホを操作し見せてくれた。 「福島県には和紙の里が五つある。うちひとつが市内の中田町の海老根地区だ。江戸時代から海老根和紙という伝統工芸品が盛んに作られていた。一時は途絶えたが伝統を後世に残すために有志が集まり再興させた。確かゴールデンウィークに大安場史跡公園で紙漉きの体験のイベントをやるって新聞に書いてあったような気がする。クスリを溶かして作れば見た目は普通の和紙のハガキだ。選挙事務所に置いてあってもおかしくない」 『ゆずちゃん、やっぱり、昼行灯は仮の姿だったのね』 パソコンの画面いっぱいにチカちゃんのどアップが写し出されていた。 「あ~~もう、画面を小さくしてくれ」 柚原さんは照れて真っ赤になっていた。 『未知もありがとうね』 ウィンクをして投げキッスをするとチカちゃんが画面から消え、代わりに国井さんの顔が写し出されていた。 『テンションが高くてすまない』 「いつものことだろう。千里がふたりいると思えば気にらないよ。国井、無茶するなよ」 『ありがとう卯月。助かったよ』

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