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番外編 真実

夕暮れ近くになり雨が急に降りはじめた。 「そうか。わざわざ息子のことを調べてくれて感謝する」 根岸さんは普段通りだった。 驚くこともなく、動揺することなく淡々としていた。 「風の便りで息子のよくない話しは耳にしていた。近所の爺ちゃんや婆ちゃんを集めて日用品をタダで配り最後は45万もする布団を売り付けていたとか、まぁそんな話しだがな」 プリントアウトした報告書に一通り目を通すと、隣に座る伊澤さんに渡した。 「おぃ、根岸」 伊澤さんが驚いたように声を上げた。 「悠仁と奏音に親子関係はない。勤めていた健康食品会社の売上金をネコババして、梶山組から逃げ回りながら、奏音を捨てる場所を探していたんだろう。だから関西からわざわざ遠く離れた磐梯熱海温泉に来たんだ。ここに奏音を置き去りにしても俺がいるからな」 「母親と同じことを息子にするとはな。今の若い者が何を考えているのかさっぱり分からない。しかし、これで点と線が一つに繋がったな」 「あぁ。明日目撃情報があったコンビニエンスストアに行ってくる」 「じゃあ俺は亜優と留守番だな」 「あ?留守番だと。俺に一人で行けっていうのか。お前がいないとその、あれだ」 根岸さんがごほんとわざとらしく咳払いをした。

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