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番外編 かなたのじいちゃん

「奏音、じいちゃんに言いたいことがあるならハッキリ言え。腹に溜めると良くない。言うのも勇気がいるし怖いのも分かる」 起きていたのは柚原さんだけじゃない。奏音くんも起きていた。 目をぱっちりと開くと瞬きもせず柚原さんをじぃーと見上げた。 「じいちゃんにバイバイしてこい。今ならまだ間に合う。手紙一生懸命書いたんだろう?意地を張らずにじいちゃんに渡してこい」 髪を撫でながらにっこりと笑うと、それまで強張っていた奏音くんの表情がふっと緩んだ。 「ぱぱたんここでまってて。かなたのばしょ、ちゃんととっておいてよ。だれもねせちゃだめだよ」 「分かった。心配するな」 「かなた、じいちゃんにバイバイしてくるね」 むくっと起き上がると廊下に飛び出した。 「根岸、ネクタイ曲がってるぞ。てかいつも曲がってないか?」 「そうか?気のせいだ」 「いや、気のせいじゃない」 栃木に発ったはずのふたりが玄関先で人目も憚らずわちゃわちゃしていた。 そこへ「じいちゃん!」奏音くんが息を切らしながら現れた。 「じいちゃんじゃねぇ。滉大さんだ」 「じいちゃん!かなたのじいちゃん!」 じいちゃんを連呼され、さすがに気恥ずかしくなってきたのか、 「だからもう……好きに呼べ」 怒るにも怒れず最後は根岸さんが折れた。

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