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番外編かなたおそとでおべんとうたべたい!
「じゃあ行ってくる。いいか奏音、お利口さんにして待ってろとは言わないが、一太のパパとママ、ぱぱたんとままたんの言うことはちゃんと聞くんだぞ。いいか分かったか?」
「うん」
「頭を撫で撫でしたいのはやまやまなんだが、伊澤に焼きもちを妬かれるとじいちゃん非常に困るから、帰ってからうんと褒めてやるからな」
奏音くんに笑顔でバイバイされ、根岸さんと伊澤さんも手を振り、仲良く肩を並べて出掛けて行った。
「ままたん」橘さんの袖を掴み何か言いたげな表情で橘さんをじぃーと見つめる奏音くん。
「奏音は俺のガキの頃とおんなじだ。片親しかいねえんだ。弁当持って遊園地とか動物園とかで遊ぶなんて幼稚園の遠足くらいしかなかったんじゃねぇか。俺も未知と一太と出会って、生まれてはじめて家族団欒ってものを知ったんだ。それに今日は夏日の予報だ。天気がいいのに家の中ばっかじゃおもしゃくねぇよ。もやしになっちまう」
「大人の事情なんて子どもたちには関係ありませんからね」
「あぁ、その通りだ。寝たいときに寝て、食べたいときに食べて、騒ぎたいときはおもいっきり騒ぐ。遊びも一緒だ。遊びを通じて学ぶことだってあるはずだ。たまにはいいだろう」
「えぇ、そうですね」
「まま……たん……あ、あの……」
奏音くんの声が緊張でがちがちに震えていた。
柚原さんに言いたいことがあるならハッキリ言えって言われたんだものね。
頑張れ奏音くん。心の中でひそかに応援した。
「かなたね、おそとでみんなでおべんとうがたべたい!カルチャーパークに行きたい!」
若い衆もびっくりするくらい大きな声でちゃんと言えた。
「よく言えましたね。偉いですね」
橘さんに褒めてもらい照れ臭いのか、えへへと笑いながら頭を掻いていた。
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