一太と奏音くんが仲良くゴーカートのアトラクションの行列に並んでいた。彼と橘さんがふたりに付き添ってくれている。 一方の遥香は紗智さんと那和さんと手を繋ぎ、メリーゴーランドに並んでいる。 「亜優さんは花より団子ですね。そんなに急いで食べたらウィンナーが喉に詰まりますよ」 橘さんがくすくすと笑いながら亜優さんの口の端についたケチャップをティッシュで拭いてあげた。 亜優さんにとっては人生初の遊園地。見るもの聞くものすべてはじめてで。何もかもが珍しく、新鮮に映るのか、キョロキョロと辺りをしきりに見回していた。 何事も経験だ。彼にそう言われ、お金を握り締め売店にお使いに出掛けた亜優さん。でも言葉が通じなかったみたいで、しょんぼりと肩を落として帰ってきた。 「あゆさん、いちたといこう」 「かなたもいるから、はずかしくないよ」 彼が声を掛ける前に一太と奏音くんがすぐに気付き、亜優さんに駆け寄り手を掴み売店に連れていっていった。 で買ってきたのがウィンナー２本。 それを今嬉しそうに頬張っている。 太惺と心望はベビーカーの中ですやすやと熟睡中だ。 あれほど飽きて駄々を捏ねて騒いでいたのに。 さすが柚原さん。寝かし付けのプロだ。５分と掛からず二人いっぺんに寝せてしまった。