｢ねぇ、パパ。ディノンさんはなんのおしごとしてるの？｣ ｢なんだ急に｣ ｢だってね、おばけみたくとつぜんあらわれるし、ふうせんがおそらにとんでいくみたいにきゅうにいなくなるし。いちたもっともっとディノンさんとあそびたい。ハルちゃんもたいくんもここちゃんだってきっとおんなじだよ｣ ｢地竜はな斉木先生や若先生と同じお医者さんなんだ。うんと遠い国で病気と闘う子どもを助けるために毎日頑張っているんだよ｣ ｢そうなんだ。ディノンさんはパパとおなじだね｣ ｢何が同じなんだ？パパにとって地竜は永遠の恋敵《ライバル》だ｣ ｢ライバルってなぁ～に？｣ ｢大きくなったら分かるようになるよ｣ 折角だから地竜さんが仕事をしている姿を一太に見せてあげよう。彼がそんなことを言い出して、ここから直売所まで５分と掛からないからみんなで歩いて移動することにした。すれ違いざまどきっとして思わず振り返るカップルや、なるべく目を合わせないように下を向いてすれ違う家族連れなど、通行人にちらちらと見られながらもあっという間に直売所に到着した。中に入るとちょうど贈呈式の真っ最中だった。地竜さんが終始にこやかな笑顔で関係者と記念撮影をしていた。