1407 / 3258

番外編 きらきらの笑顔

「パパカッコいいね。すごいね。いつものディノンさんとはちがうひとみたい」 一太は目をきらきらと輝かせ興奮していた。 「なんでダメなんだ。贈呈式は終わったんだ。息子に………」 「ダメハダメ。ノー」 贈呈式が終わり僕たちのところに駆け寄ろうとした地竜さんだったけど、SPの男にむんずと襟首を掴まれどこかに連れていかれてしまった。 唖然としていたら、 「地竜も大変だな」 彼が苦笑いを浮かべていた。 オープンして間もないということもあり、店内は大勢の買い物客で賑わっていた。彼の目が買い物かごを手にうろうろする一人の若い男性に止まった。 「どうしたの?」 「普通さぁ、買い物に来ているなら商品を見たり、実際手に取って、消費期限を見たり痛んでないか確認しないか?橘みたく。でもヤツは買い物客の顔を見てる。かごに商品を入れる訳でもなく同じところを何度も行ったり来たりしている。ウーと擦れ違ったとき、ほんの一瞬だけウーの顔をちらっと見上げていた」 「そうなの?全然気付かなかった」 「彼がもうひとりのSPなのかも知れない」 やがてその若い男性の視線は紗智さんたちを捉えた。 いろんな種類のパンが並んだ棚を子どもたちと眺める紗智さんと那和さんと亜優さんは見られていることにまったく気付いていない。 「✕○□!」 ウーさんがものすごい剣幕で子どもたちの前に立つと男性を睨み付けた。 俺の兄弟は見世物じゃない。見るな!とでも言ってるのかな? 男性は動じることなくくすっと微苦笑すると、またふらりと歩き出した。

ともだちにシェアしよう!