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番外編 キラキラの笑顔

直売所を出て車に向かっていたら聞き覚えのある声が聞こえてきた。 「離せ。未知や子どもたちが待っているんだ」 「ダメ。ノー」 車のドアから半分身を乗り出し手足をバタつかせる地竜さん。それを押さえて無理矢理、中に押し込もうとするSPの男性がなにやら押し問答をしていた。 「卯月、笑って見てないで助けろ!」 彼に気付いた地竜さんが声を上げた。 「菱沼組の卯月だ」 「……」 二つの眼は蛇のように動かず、じっと遥琉さんを見つめていた。 「挨拶しろ。それが礼儀だ」 痺れを切らした地竜さんが男性に声を掛けてもひと言も発しなかった。 「彼の名前は希望《シワン》。カポと呼ばれる幹部の一人らしい」 鞠家さんが代わりに紹介してくれた。 「芫みたくまた面倒くさいのを連れてきたのか?」 「連れてきたんじゃない。勝手に付いてきたみたいだ。どこ行くにも地竜にベッタリで、地竜に近付こうとする輩をことごとく遠ざけ、声を掛けただけでも鬼の形相で睨まれる。蜂谷がいちばんの犠牲者だ」 ちらっと蜂谷さんに視線を送ると、大きく二度と三度と頷いていた。 「おぃ地竜、とんでもないヤツを連れてくんな」 「今回は医師として来日したんだ。チーチウ以外連れてくる気なんてこれっぽっちもなかったんだ。チーチウっていうのはボディガードだ。そこら辺をうろちょろしている。日本に着いたらシワンがいたから驚いたんだ」 チラチラと誰かに見られているような気がして。おっかなびっくり顔を上げるとシワンさんと目が合った。 慌てて頭を下げると、ふん、鼻で笑われぷいっと顔を逸らされた。

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