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番外編モテ男の受難

その荷物が忽然と消えた。 「外をうろついていたサツが若い衆に因縁をつけ、喧嘩腰で恫喝した。蜂谷がすぐに気付いてサツを追い払ってくれたんだが、目を離した隙に失くなっていた」 「そうか」 腕を前で組み小難しい表情を浮かべながら、鞠家さんと柚原さんと話し込んでいた。 「荷物を受け取った若い衆が、箱がデカイわりにはとても軽かった。さかさかと中から音がしていて気味が悪かったって話をしていた」 「毒蜘蛛を生きたまま送り付けたのかも知れない。連中ならやりそうなことだ。伝票にあった問い合わせ番号を調べたら、都内から荷物が発送されていた」 「子どもを狙うなんて、なんて卑劣な連中だ」 「なぁ、オヤジ」 鞠家さんがいつになく真剣な顔で彼をみつめた。 「おぃおぃ、俺は紗智じゃねぇぞ。そんなにじろじろ見ないでくれ。背中が痒くなるだろ?」 「あのな……そう意味で見ていたんじゃないぞ」 「分かってるよ。で、何だ?」 「もしかして狙われたのは一太じゃなく、その回りにいる大人じゃないのか?」 「なるほどな。一太に手伝い箱を開ける大人っていったら俺か未知か橘……紗智や那和の可能性だって充分にあり得る。いや、待てよ。もうひとりいる」 彼の視線が居間で遊ぶ子どもたちへと向けられた。 一番上のお兄ちゃんとして、一太や遥香の面倒を何かとみるようになった奏音くんに。 「オヤジ、まさか…」 「冗談だろ」 ふたりが驚くのも無理がない。 「連中の狙いはおそらく奏音だ。いまだに見付からない根岸の倅を誘き出すために強行手段に出たのかも知れない」

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